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マタハラとは?厚生労働省の指針が示す2つの型と典型例、妊娠・出産した女性の26.1%が経験した調査、会社の措置と相談先までを解説

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妊娠を報告したら上司の態度が変わった、産休や時短勤務の相談をしたら嫌みを言われた。こうした職場での言動は「マタハラ(マタニティハラスメント)」と呼ばれ、法律で会社に防止措置が義務づけられています。

この記事では、厚生労働省の指針や資料をもとに、マタハラの定義と2つの型、ハラスメントに当たらない言動との違い、国の調査で見える実態、会社が講じる措置と困ったときの相談先をまとめました。2026年10月時点の情報です。

目次

マタハラの定義と制度等の利用への嫌がらせ

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マタハラは法律上、「職場における妊娠、出産等に関するハラスメント」と呼ばれます。まずは厚生労働省の指針が定める範囲と、2つの型のうち「制度等の利用への嫌がらせ型」の中身を見ていきます。

指針が定める妊娠・出産等ハラスメント

マタハラの範囲は、厚生労働省の「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」に示されています。2016年(平成28年)の告示で、厚生労働省のサイトには「令和8年10月1日適用」と記された版が掲載中です。

指針によると、職場における妊娠、出産等に関するハラスメントは、上司または同僚から行われるもので、次の2つがあります。ひとつは、産前休業など妊娠や出産に関する制度や措置の利用に関する言動で就業環境が害される「制度等の利用への嫌がらせ型」です。もうひとつは、妊娠したことや出産したことなどに関する言動で就業環境が害される「状態への嫌がらせ型」です。

ここでいう「職場」は、ふだん働いている場所に限りません。指針は、女性労働者が業務を遂行する場所であれば、通常就業している場所以外でも職場に含まれるとしています。厚生労働省のハラスメント対策サイト「あかるい職場応援団」は、出張先や、実質的に職務の延長と考えられる宴会なども職場に当たると説明しています。

「労働者」も正社員だけではありません。指針は、パートタイム労働者や契約社員などの非正規雇用労働者を含め、事業主が雇用するすべての労働者が対象。派遣労働者については、派遣元だけでなく派遣先の事業主も、自ら雇用する労働者と同じように配慮や措置を講じる必要があります。

また、厚生労働省の解説資料「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントやセクシュアルハラスメントの考え方」は、妊娠などの状態や制度の利用と、嫌がらせとなる行為とのあいだに因果関係があるものがハラスメントに当たると説明しているのも押さえておきたい点です。

なお、あかるい職場応援団によると、育児休業や介護休業などを申し出たり取得したりした男女労働者への同様の言動も、育児・介護休業法にもとづく「育児休業等に関するハラスメント」として防止措置の対象です。マタハラのほかに、パタニティハラスメント(パタハラ)、ケアハラスメント(ケアハラ)と呼ばれることもあると紹介されています。妊娠した女性だけの問題ではなく、子育てや介護と仕事を両立しようとするすべての人に関わるテーマといえます。

制度等の利用への嫌がらせ型の例

1つ目の「制度等の利用への嫌がらせ型」で対象となる制度や措置として、指針は次の6つを挙げています。

  • 妊娠中や出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)
  • 坑内業務や危険有害業務の就業制限
  • 産前休業
  • 軽易な業務への転換
  • 変形労働時間制での法定労働時間を超える労働の制限、時間外労働・休日労働・深夜業の制限
  • 育児時間

典型例は3種類に分けられています。1つ目は、制度の利用を相談したり請求したり、実際に利用したりしたことで、上司が解雇その他の不利益な取扱いを示唆するものです。2つ目は、制度の利用の請求や利用そのものを阻害するもので、上司が請求しないよう言う、取り下げるよう言う、同僚が繰り返しまたは継続的に請求しないよう言う、といった例が示されています。3つ目は、制度を利用したことで、上司や同僚が繰り返しまたは継続的に嫌がらせをするものです。指針は、ここでいう嫌がらせ等には、嫌がらせ的な言動のほか、業務に従事させないことや、もっぱら雑務に従事させることも含まれるとしています。また、ここで挙げた典型例は限定列挙ではない、つまりこれ以外の言動でもハラスメントに当たりうる点に留意が必要だとも明記されています。

前出の「考え方」の資料によると、上司による阻害の言動は1回でも該当するという整理です。一方、同僚の場合は繰り返しまたは継続的なものが該当し、本人が意に反することを伝えたのにさらに言われた場合も含まれます。また、単に言動があるだけでなく、客観的にみて一般的な労働者なら制度の利用をあきらめざるを得なくなるような言動が対象です。

あかるい職場応援団では、具体例として、産休の取得を相談したら「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた例や、妊婦健診のための休暇を相談したら「病院は休みの日に行くものだ」と相手にしてもらえなかった例が紹介されています。男性の例として、育児休業の取得を相談したら「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっているケースも挙げられました。資料はさらに、労働者が制度の利用を請求したときに、上司が個人的に請求を取り下げるよう言う場合はハラスメントに当たり、事業主は措置を講じる必要があるとしています。

状態への嫌がらせ型と当たらない言動

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2つ目の「状態への嫌がらせ型」は、制度を使ったかどうかに関係なく、妊娠や出産そのものを理由にした言動が対象です。あわせて、業務上の必要性にもとづく言動との線引きも確認しておきましょう。

状態への嫌がらせ型の例

指針は、「状態への嫌がらせ型」の対象となる妊娠または出産に関する事由として、次の5つを挙げています。

  • 妊娠したこと
  • 出産したこと
  • 坑内業務や危険有害業務の就業制限により業務に就けないこと、または従事しなかったこと
  • 産後の就業制限により就業できないこと、または産後休業をしたこと
  • 妊娠や出産に起因する症状で労務の提供ができないこと、または労働能率が低下したこと

5つ目の「妊娠又は出産に起因する症状」について、指針は、つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全などを例示しています。つわりで仕事のペースが落ちたことを責めるような言動も、この型に入りうるわけです。

典型例は2種類あります。1つ目は、妊娠などを理由に、上司が解雇その他の不利益な取扱いを示唆するものです。「考え方」の資料は、これは労働者への直接的な言動である場合を指し、1回の言動でも該当するとしています。例として、上司に妊娠を報告したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われたケースが示されています。

2つ目は、妊娠などを理由に、上司や同僚が繰り返しまたは継続的に嫌がらせをするものです。こちらは、客観的にみて一般的な女性労働者であれば、能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じるなど、就業する上で看過できない程度の支障が生じるものが該当します。資料は、言葉によるものだけでなく、必要な仕事上の情報を与えない、これまで参加していた会議に参加させないといった行為もハラスメントになると明記。典型例としては、上司や同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し言うケースでした。

あかるい職場応援団でも、上司に妊娠を報告したら「次回の契約更新はないと思え」と言われた例や、同僚から「こんな忙しい時期に妊娠するなんて信じられない」と繰り返し言われ、精神的に落ち込んで業務に支障が出ている例が紹介されています。

Xでも、部長から笑顔で「つわり楽な方だね」「産休明けに同じ仕事はできないと思った方がいい」などと言われたとし、産休の前に社内通報するつもりだと書く投稿がありました。個人の受け止めであり、ハラスメントに当たるかどうかは個別の状況で判断されますが、悪気のない一言でも働く側には重く響くことがうかがえます。

業務上の必要性がある言動との違い

マタハラを防ぐうえで迷いやすいのが、業務の調整や体調への配慮との線引きです。指針は、業務分担や安全配慮などの観点から、客観的にみて業務上の必要性にもとづく言動は、ハラスメントに該当しないとしています。

「考え方」の資料は、その判断を具体的に説明しています。部下が休業するとなると、上司としては業務の調整が必要です。ただし、妊娠中に医師などから休業の指示が出た場合のように、体調を考えてすぐに対応しなければならない休業まで、「業務が回らないから」という理由で上司が妨げればハラスメントに当たります。一方、定期的な妊婦健診の日時のようにある程度調整できるものについて、時期をずらせるか本人の意向を確かめることまでは禁止されていません。それでも、本人の意をくまない一方的な通告はハラスメントになる可能性があるとしています。

資料が挙げる「ハラスメントには該当しない業務上の必要性に基づく言動」の例は、次のとおりです。

  • 業務体制を見直すため、上司が育児休業をいつからいつまで取得するのか確認する
  • 業務状況を考えて、上司が「次の妊婦健診はこの日は避けてほしいが調整できるか」と確認する
  • 同僚が自分の休暇との調整のために休業の期間を尋ね、変更を相談する
  • 長時間労働をしている妊婦に、上司が業務分担を見直して残業を減らそうと思うがどうかと配慮する
  • 上司や同僚が、負担の少ない業務に替わってはどうか、つわりで体調が悪そうなので少し休んだほうがよいのではと配慮する

ただし、変更の依頼や相談は、強要しない場合に限られます。また、体調への配慮については、妊婦本人がこれまでどおり働きたいと考えていても、客観的にみて体調が悪い場合は業務上の必要性にもとづく言動になると説明されています。

もうひとつ区別しておきたいのが「不利益取扱い」です。あかるい職場応援団によると、妊娠・出産や制度の利用などを理由に事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約社員の契約を更新しないといった行為は、「ハラスメント」ではなく「不利益取扱い」に当たり、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の違反になります。

Xには、上司が「妊娠出産を理由に仕事を減らしてしまうことはマタハラ」ということだけを覚えていて、出産予定日の前後にも仕事を入れようとしてくるという投稿もありました。配慮そのものがハラスメントになるわけではないため、本人の意向と体調を確かめながら話し合うことが大切です。

調査と相談件数でみるマタハラの実態

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マタハラはどのくらい起きているのでしょうか。厚生労働省の委託調査と、都道府県労働局に寄せられた相談や是正指導の件数から、数字で見える実態を紹介します。

女性26.1%と男性24.1%が経験

厚生労働省の委託事業として行われた「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書(概要版)は、2024年1月11日から29日にインターネットで実施されました。一般の労働者8,000人とは別に、特別サンプルとして、過去5年間に就業中に妊娠・出産した女性労働者1,000人と、過去5年間に勤務先で育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者500人に回答してもらっています。

報告書によると、妊娠・出産した女性のうち、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けたと答えた人は26.1%でした。勤務先の業種別では「運輸業、郵便業」が38.7%、「生活関連サービス業、娯楽業」が35.3%と高く、最も低かったのは「金融業、保険業」の15.5%です。受けた内容は、「繰り返しまたは継続的な嫌がらせ等(嫌がらせ的な言動、業務に従事させない、もっぱら雑務に従事させる)」が21.5%で最も多く、「上司による、制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する言動」が20.3%で続きました。

雇用形態による違いもあります。「減給または賞与等における不利益な算定」や「昇進、昇格の人事考課における不利益な評価」は正社員のほうが高く、「退職の強要や、正社員を非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要」や「自宅待機命令」などは正社員以外のほうが高い結果でした。被害を受けたあとの行動では、「何もしなかった」が30.7%で最も多くなっています。

育児に関わる制度を利用しようとした男性では、育児休業等ハラスメントを受けたと答えた人が24.1%でした。内容は、「上司による、制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する言動」と「同僚による、繰り返しまたは継続的に制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する言動」がともに24.2%で最も高く、「繰り返しまたは継続的な嫌がらせ等」が20.8%で続きます。きっかけとなった制度は、「育児のための所定労働時間の短縮、始業時刻変更等の措置の申出・適用」が28.3%、「育児休業の申出・取得」が25.8%でした。男性が被害後にとった行動では、「会社とは無関係の弁護士や社会保険労務士に相談した」が20.8%で最も高い割合です。

厚生労働省の調査結果の概要は、過去3年間の経験として比べた場合、パワハラやセクハラなどが令和2年度の調査より減ったのに対し、女性の妊娠・出産・育児休業等ハラスメント(26.1%)と男性の育児休業等ハラスメント(24.0%)は横ばいだったとまとめています。ほかのハラスメントほど減っていない点は、職場の課題として意識しておきたいところです。

労働局への相談と是正指導の件数

働く人や会社からの相談を受け、法律にもとづく指導を行っているのが、各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。厚生労働省の「令和6年度の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における雇用均等関係法令の施行状況について」から、マタハラに関わる数字を見てみます。同資料によると、男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法、パートタイム・有期雇用労働法、育児・介護休業法の4つの法律について寄せられた相談は、全体で202,311件と前年度より21.0%増えました。

男女雇用機会均等法に関する相談は、2024年度(令和6年度)に19,145件ありました。このうち「妊娠・出産等に関するハラスメント(第11条の3関係)」は1,580件で、2022年度の1,926件、2023年度の1,756件から減っています。一方、「婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い(第9条関係)」の相談は5,064件で、セクシュアルハラスメントの7,727件に次いで多い相談内容でした。

是正指導の件数を見ると、労働局が雇用管理の実態把握を行った5,074事業所のうち、何らかの男女雇用機会均等法違反が確認された3,259事業所に5,087件の是正指導が行われています。その内容で最も多かったのが「妊娠・出産等に関するハラスメント措置義務(第11条の3関係)」の1,364件(26.8%)で、セクシュアルハラスメントの措置義務の1,302件を上回りました。会社が講じるべき防止措置が十分でないと指導されるケースが、いちばん多いということです。

育児・介護休業法でも、2024年度の相談件数は103,821件と前年度より33.0%増えました。育児関係の相談のうち「育児休業等に関するハラスメントの防止措置(第25条関係)」は1,381件です。是正指導では、育児関係で「休業等に関するハラスメントの防止措置(第25条関係)」が1,391件(30.7%)と最も多く、介護関係でも同じ第25条関係が1,341件(48.7%)で最多でした。育児・介護休業法については、労働局長による紛争解決の援助の申立てが175件、両立支援調停会議による調停の申請が16件受理されています。

相談件数は、被害の件数そのものではありません。実態調査で被害後に「何もしなかった」人が約3割いたことを考えると、表に出ていない事例もあると考えられます。

会社が講じる措置と被害時の相談先

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マタハラの防止は、個人の心がけだけでなく会社の義務とされています。指針が会社に求めている措置と、被害を受けたときに頼れる相談先を整理しておきましょう。

指針が求める会社の措置

指針は、事業主が雇用管理上講じなければならない措置として、大きく次の5つを定めました。

  • 事業主の方針等の明確化と、その周知・啓発
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • ハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
  • ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
  • あわせて講ずべき措置(プライバシーの保護と、相談したことなどを理由に不利益な取扱いをしない旨の周知)

1つ目の方針の周知では、ハラスメントの内容とともに、その原因や背景についての理解を深めることが重要だという説明です。指針は背景として、不妊治療に対する否定的な言動を含め、妊娠や出産を否定するような言動が頻繁に行われるなど、制度の利用や請求をしにくい職場風土や、制度を利用できることの周知が不十分であることを挙げています。周知の方法の例は、就業規則への規定、社内報やパンフレット、社内ホームページへの掲載、研修や講習の実施です。

2つ目の相談体制では、相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知することが必要です。担当者を決める、相談のための制度を設ける、外部の機関に委託するといった方法が例示され、実際にハラスメントが起きている場合だけでなく、そのおそれがある場合や該当するか微妙な場合でも、広く相談に応じるよう求めています。

3つ目の事後対応では、事実関係を迅速かつ正確に確認し、事実が確認できた場合は被害者への配慮と行為者への措置を適正に行い、再発防止策を講じることも欠かせません。再発防止策は、事実が確認できなかった場合も同様に講じるとされています。

4つ目は、マタハラ特有の措置です。指針は、否定的な言動の要因の一つに、妊娠した労働者がつわりなどで労務を提供できなかったり労働能率が下がったりして、周囲の業務負担が増えることもあると指摘しています。そのため、周囲の業務負担にも配慮すること、妊娠した労働者の側も制度を利用できるという知識を持ち、周囲と円滑にコミュニケーションをとりながら体調に応じて業務を進める意識を持つことの両方が重要だとしています。措置の例として、周囲の労働者への業務の偏りを軽減するよう業務分担を見直すことや、業務の点検と効率化です。

また指針は、事業主は労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう研修などを行うよう努めるとし、ここでいう他の労働者には、他社の労働者や求職者も含むとしています。労働者自身にも、関心と理解を深め、言動に必要な注意を払うとともに、会社の措置に協力するよう努めることが求められる、という位置づけです。

被害を受けたときの相談先

マタハラかもしれないと感じたら、まずは社内の相談窓口に相談するのが基本です。指針は、相談したことや事実確認に協力したことなどを理由に解雇その他の不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知することを会社に求めています。

社内で解決しにくい場合や、相談しても対応してもらえない場合は、各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談先になります。所在地は厚生労働省の都道府県労働局の所在地一覧から探すことが可能です。前章で紹介したとおり、労働局は相談を受けるだけでなく、会社への是正指導も行っているのが特徴です。厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aによると、ハラスメントに関する紛争については、都道府県労働局長が当事者に助言、指導、勧告をすることができ、当事者の申請にもとづいて紛争調整委員会が調停で解決を図る制度も設けられています。同じQ&Aは、マタハラにあったときは、まずはっきりと意思を伝えることも勧めました。

指針には、事実関係の確認が難しい場合などに、法律にもとづく調停の申請を行うなど、中立な第三者機関に紛争処理を委ねる方法も示されています。調停などの紛争解決案に従った措置を被害者や行為者に講じることも、会社の対応の例のひとつです。

相談するときに役立つのが記録です。いつ、どこで、誰に、どのような言動をされたか、そのときの周囲の状況や、自分の体調や業務への影響をメモしておくと、社内窓口や労働局に状況を説明しやすくなります。指針は、相談者と行為者の主張が食い違う場合には、第三者からも事実関係を聴取するなどの措置を講じるとしており、具体的な記録はその判断材料にもなります。

Xでは、同じ部署の先輩から産休中の仕事の引き継ぎは受けられないと言われ、産休取得の時期が悪いって言ってるんじゃないよ?との発言に違和感を覚えたという投稿がありました。引き継ぎの調整そのものは業務上必要なことですが、言動が繰り返されて働きにくくなっていると感じたら、一人で抱え込まずに上司や相談窓口に早めに相談することが大切です。

実態調査で、被害を受けた女性の30.7%が「何もしなかった」と答えていたことを思い出してください。妊娠中や子育て中は心身に余裕がなく、声を上げにくいものです。会社の窓口、労働局、家族や信頼できる同僚など、話しやすいところから頼ってみてください。

マタハラの基礎知識のまとめ

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マタハラについて、厚生労働省の指針や資料、調査をもとに紹介しました。要点は次の5つです。

  • マタハラには、制度の利用に関する言動による「制度等の利用への嫌がらせ型」と、妊娠・出産したことなどに関する言動による「状態への嫌がらせ型」の2つの型がある
  • 上司が不利益な取扱いを示唆する言動は1回でも該当し、同僚の言動は繰り返しまたは継続的なものが該当する
  • 業務上の必要性にもとづく確認や体調への配慮は、強要しない限りハラスメントに当たらない
  • 国の調査では、妊娠・出産した女性の26.1%、育児の制度を利用しようとした男性の24.1%がハラスメントを受けたと回答している
  • 会社には防止措置が義務づけられており、社内で解決しにくいときは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できる

妊娠や出産、子育ては、誰にとっても身近なできごとです。働く人一人ひとりが正しい知識を持つことが、マタハラのない職場づくりにつながります。

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この記事を書いた人

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職場の人間関係で消耗しないために、上司・同僚・部下との関わり方や対処手順を、具体的な場面ごとに分かりやすく整理してお届けします。

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