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会社のストレスチェックの結果を開いたら、「高ストレス」の文字。Xでも「ストレスチェックで高ストレスと出てしまった やばいんか?」という投稿がありました(Xの投稿)。驚きと一緒に、「面談を申し込んだら上司に知られるのでは」「評価に響かないか」という不安が浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
この記事では、高ストレスと判定されたあとに何が起きるのか、何を自分で選べるのかを順に紹介します。会社ごとの細かい運用は社内規程で決まるため、最後は自分の職場の案内もあわせて確認してください。
「高ストレス」はどうやって決まる?
まずは「高ストレス」という判定がどんな基準で出ているのかを見ていきます。病気の診断ではなく、質問票の点数にもとづく目安だと知っておくと、結果を少し落ち着いて受け止めやすくなります。
判定の基準と「全体の1割程度」という目安
ストレスチェックは、ストレスに関する質問票に働く人が答え、自分のストレスがどんな状態にあるかを調べる簡単な検査です。厚生労働省の労働者向けページ「ストレスチェックって な~に?」によると、質問票には「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3つの領域を含める必要があり、57項目の「職業性ストレス簡易調査票」を使うことが望ましいとされています。
実施マニュアルでは、高ストレス者を選ぶ考え方として次の2つが示されています。ひとつは、「心身のストレス反応」の評価点の合計が高い人。もうひとつは、「心身のストレス反応」が一定以上で、かつ「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」の評価点の合計が著しく高い人です。つまり、今すでに心身の反応が強く出ている人だけでなく、反応はそこそこでも職場の負担が大きく支えが少ない人も、高ストレスに含まれる仕組みになっています。
マニュアルには、点数を単純に合計する方法の設定例も載っています。57項目版では、「心身のストレス反応」(29項目)の合計が77点以上の人、または「仕事のストレス要因」(17項目)と「周囲のサポート」(9項目)の合計が76点以上で、かつ「心身のストレス反応」が63点以上の人を高ストレスとする、という例です。もうひとつ、素点換算表で尺度ごとに5段階評価(ストレスが高いほうが1点)に置き換えて判定する方法もあります。こちらの設定例では、「心身のストレス反応」の6尺度(活気、イライラ感、不安感、抑うつ感、疲労感、身体愁訴)の合計が12点以下の人、または「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」の計12尺度の合計が26点以下で、かつ心身のストレス反応の6尺度の合計が17点以下の人を高ストレスとしています。
大事なのは、これらの例では該当者が「概ね全体の10%程度」になるよう設定されていて、事業場の状況によって割合を変えることも可能とされている点です。高ストレスの判定は、病名をつけるものではなく、「医師の話を聞いておいたほうがよさそうな人」を拾い上げるための線引きだと考えるとわかりやすいでしょう。実際、労働者向けページも、この制度の目的はメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」であり、不調の発見を目指すものではないと説明しています。
実際には何%の人が高ストレスと判定されている?
では、実際にどのくらいの人が高ストレスと判定されているのでしょうか。健康管理サービスを手がけるFiNC Technologiesの記事は、公益社団法人全国労働衛生団体連合会(全衛連)の「令和6年 全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書」を紹介しています。対象は令和6年1〜12月に全衛連の会員機関が実施し、解析への同意が得られた1,344,571人分のデータです。
その報告では、高ストレス者の割合は全体で14.6%(196,955人)で、令和5年より0.3ポイント低くなっていました。男女別では男性16.4%、女性12.0%と、男性のほうが4.4ポイント高い結果です。年代別では30歳代・40歳代・50歳代が全体平均より高く、10歳代・20歳代・60歳代以上は低かったといいます。業種別では、製造業17.3%、鉱業・採石業・砂利採取業16.1%、農業・林業と運輸業・郵便業がそれぞれ15.0%、卸売業・小売業14.8%が平均を上回っていました。
同じ報告書には、職場単位のストレスの目安となる「総合健康リスク」も載っています。仕事の量、仕事のコントロール度、上司のサポート、同僚のサポートから計算する指標で、全国平均を100とし、120を超えると何らかの仕事のストレスに関する問題が職場で生じている場合が多いとされています。全業種平均は男性98、女性92でした。会社から部署ごとの集団分析の結果が共有されることがあれば、この数字も見ておくと、個人の問題なのか職場の問題なのかを考える手がかりになります。
別の集計もあります。PR TIMESで公開された情報基盤開発株式会社の発表では、同社のストレスチェックサービスの2025年実施分で、受検者全体の14.3%が高ストレス(A判定)でした。同社は、厚生労働省の基準値は高ストレス者割合10%で、14.3%はそれを上回っていると書いています。
つまり、高ストレスと判定される人は、ざっくり7人に1人前後いることになります。決して珍しい結果ではありません。ただ、珍しくないからといって放っておいてよいわけではありません。繁忙期の一時的な疲れなのか、何カ月も続いている負担なのかで意味合いは変わるので、次の章で見る「面接指導」という仕組みをどう使うかを考えてみてください。
高ストレスと出たら、まず何が起きる?
結果を受け取った時点で、会社が何を知っていて、何を知らないのかは多くの人が気になるところです。ここでは結果の通知と、面接指導の案内について確認します。
結果は本人に届き、同意なしに会社へは渡らない
労働者向けページによると、ストレスチェックの結果は働く人一人ひとりに通知され、本人の個別の同意がなければ、結果を事業者(会社)に通知することは禁止されています。結果を会社に渡すことに同意しなかったからといって、会社が不利益な扱いをすることも禁止です。
実施マニュアルでは、結果は「実施者」(医師や保健師など)や、その指示で事務を担う「実施事務従事者」から、遅滞なく本人に直接通知するとされています。会社が実施者から結果を受け取るには本人の同意が必要で、その同意は本人が結果を見てから判断する前提です。厚生労働省のQ&Aでは、結果通知に同意確認の書類を同封することは、本人が結果を見て判断できるので可能だとしています。結果の記録は5年間保存され、本人の同意がない場合は会社ではなく実施者か実施事務従事者が保存します。
秘密を守るための罰則も設けられました。ストレスチェックの実施者や実施事務従事者、面接指導の事務に携わった人が、実施に関して知った労働者の秘密を漏らすことは禁止され、労働安全衛生法第119条第1号(第104条関係)の罰則規定があります。
一方で、会社に伝わる情報もゼロではありません。受検したかどうかの情報は会社に開示してよいとされているため、受けていない人は受検を勧められることがあります。ただし、受検そのものは働く人の義務ではありません。Q&Aでは、就業規則で受検を義務づけ、受けない人に懲戒処分を行うような強要はしてはいけない、という答えでした。
受検の有無の情報の扱い、結果の保存方法、情報の開示・訂正・削除の方法、苦情の処理方法などは、会社が衛生委員会などで調査審議したうえで社内規程にし、働く人に周知することになっています。労働者向けページはこうした内容を事前に確認しておくとよいとしているので、自分の結果が誰の手元に、どの範囲で残るのかが気になる人は、社内規程や実施時の案内を読み返してみてください。
なお、ここでいう会社とは、人事や上司など、会社の側で働く人を指します。部や課などの集団ごとの集計・分析結果は会社に提供され、職場環境の改善に使われますが、10人未満の集団で分析する場合は、平均値だけを出すなど個人が特定されない方法をとる必要があるとされています。
面接指導を受けるかどうかは自分で選べる
高ストレスと判定され、さらに実施者が「医師による面接指導を受ける必要がある」と認めた場合は、結果の通知と一緒に面接指導の申出についての案内が届きます。ここで押さえておきたいのは、高ストレス判定と面接指導の対象は、必ずしも同じではないという点です。実施マニュアルには、実施者が受検者全員の結果を確認して面接指導の要否を判断する体制や、高ストレス者を選ぶ際に調査票に加えて補足的に面談を行う場合の体制についてのチェック項目が載っています。点数だけで機械的に決まるとは限らないということです。
面接指導の対象になったとしても、受けるかどうかは本人の選択です。労働安全衛生規則第52条の16では、申出は結果の通知を受けたあと「遅滞なく」行うものとされ、実施マニュアルの解説では、この「遅滞なく」を概ね1月以内としています。案内が来たら、1カ月くらいを目安に決めればよいということです。
申し出ない人には、実施者が勧奨(申出を勧めること)をすることが望ましいとされていて、たとえば結果通知から一定期間後に封書や電子メールで、その後の状況を確認する方法が例に挙がっています。ほかにも、結果を本人に通知する際に面接指導の対象であることを伝えて勧める方法や、すでに申し出た人を除いて勧める方法も例示されていました。実施者以外が勧奨できるのはストレスチェックの実施事務従事者に限られ、本人の同意で結果を把握している会社が勧めることも、強要や不利益な扱いにつながらないよう注意したうえでなら可能とされています。勧奨を受けても、申し出るかどうかは本人が決めることで、申し出ないことを理由にした不利益な扱いも禁止されています。
面接の受け止め方は人それぞれです。それでも、厚生労働省の「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」によると、同省の効果検証事業では、医師の面接指導を受けた労働者の過半数が「対面で医師から面接を受けたこと」が有効だったと答えています。迷ったときは、次の章で説明する「何が会社に伝わるか」を知ったうえで判断してみてください。
面接指導を申し出たらどうなる?
申し出たあとの流れと、医師から会社に伝わる情報の範囲は、法令と指針でかなり細かく決められています。不安に思いやすいポイントを順に見ていきましょう。
申出から面接までの流れと期限、費用と時間
面接指導を申し出ると、ストレスチェックの結果を会社に提供することに同意したものとみなされます。労働者向けページにもそう書かれていて、これは事前に周知しておく必要があるとされる事項です。つまり、申し出た時点で、人事などの担当者は「あなたが高ストレスで面接指導の対象だった」ことを知ることになります。ここは隠さずに理解しておきたい点です。
申出を受けた会社は、遅滞なく面接指導を行わなければなりません。実施マニュアルでは、この「遅滞なく」は申出後概ね1月以内とされています。面接は、事業場の産業医か、事業場で産業保健活動に従事している医師が望ましいとされますが、外部の医師に委託するケースもあるそうです。面接指導は精神疾患の診断や治療をするものではないため、必ずしも精神科医や心療内科医である必要はないともマニュアルは書いています。
面接では、医師が勤務の状況、心理的な負担の状況、その他の心身の状況を確認します。会社は事前に、労働時間や深夜業の回数、作業の状況などの情報を医師に提供する決まりです。面接は対面が原則ですが、厚生労働省が示す留意点を守れば、テレビ電話などの情報通信機器を使った面接も可能です。
お金と時間の扱いも気になるところでしょう。Q&Aによると、ストレスチェックと面接指導の費用は、法が事業者に実施を義務づけている以上、当然事業者が負担すべきものとされています。面接にかかった時間の賃金は労使で協議して決めるものですが、一般の健康診断と同じく、支払うことが望ましいという回答です。また実施マニュアルは、面接指導は原則として就業時間内に設定し、曜日や時間帯を柔軟にして受けやすくする配慮が必要だとしています。
ひとつ知っておきたいのは、面接で職場を離れることになるため、面接の日時などの情報は上司と共有しておく必要がある、とマニュアルに書かれている点です。その一方で、就業時間内に面接を受ける際に、必ずしもその理由を上司に伝える必要はないともされています。申込みの手続きは周囲に知られずに完了できるよう配慮すること、という留意点も示されていました。
医師の意見と「就業上の措置」、会社に伝わる情報の範囲
面接のあと、会社は医師から、就業上の措置が必要かどうかと、その内容についての意見を聴きます。この意見聴取は面接のあと遅滞なく、遅くとも概ね1月以内に行うこととされ、緊急に措置が必要な場合はできるだけ速やかに行う必要がある、というのが施行通知の説明でした。
医師の意見を示すのは、ストレスチェック指針にある次の3つの「就業区分」です。
- 通常勤務:通常の勤務でよいもの
- 就業制限:労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換などの措置を講じる
- 要休業:療養等のため、休暇や休職などで一定期間勤務させない措置を講じる
あわせて、必要に応じて職場環境の改善に関する意見も出されます。実施マニュアルに載っている「就業上の措置に係る意見書」の様式を見ると、労働時間については「時間外労働の制限(月○時間まで)」「時間外労働の禁止」「就業時間を制限」「変形労働時間制または裁量労働制の対象からの除外」「就業の禁止(休暇・休養の指示)」といった選択肢があり、措置期間や医療機関への受診配慮を書く欄もありました。面接した医師が事業場の産業医でない場合は、職場の事情を把握している産業医からも意見を聴くことが適当とされています。会社は医師の意見を踏まえ、必要があると認める場合は、その人の実情を考慮して対応できる措置を講じなければなりません。
では、面接で話した内容はどこまで会社に伝わるのでしょうか。指針の施行通知では、医師は就業上の措置を実施するために必要最小限の情報に限って会社に提供する必要があり、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容といった生のデータや詳しい医学的な情報は、会社に提供してはならないとされています。「上司との関係がつらい」と話したとしても、その言葉がそのまま上司に渡る仕組みではないということです。
ただし、残業の制限などの措置がとられれば、勤務の調整を通じて上司が事情を察することはあり得ます。会社に何をどこまで伝えてほしいか、どんな措置なら助かるかは、面接の場で医師に率直に相談してかまいません。
不利益な扱いは禁止されている
「申し出たら評価が下がるのでは」という不安に対して、法令と指針ははっきりした線を引いています。あわせて、これから対象が広がる小規模な職場の話も確認しておきましょう。
禁止されていることと、措置が必要な場合の手順
労働者向けページによると、次のことを理由に労働者を不利益に扱うことは禁止されています。ストレスチェックを受けないこと、結果を会社に提供することに同意しないこと、面接指導を申し出たこと、面接指導を申し出ないこと、の4つです。加えて、ストレスチェックの結果だけを理由にした不利益な扱いもしてはいけないとされています。
面接指導の結果を理由にしてはいけないことも、指針に列挙されています。解雇、期間を定めて雇われている人の契約を更新しないこと(雇い止め)、退職勧奨、不当な動機・目的によると判断されるような配置転換や役職の変更、その他労働契約法などの労働関係法令に違反する措置です。さらに、医師の意見とは内容や程度が著しく異なるなど、医師の意見を勘案して必要と認められる範囲を超えた措置や、本人の実情を考えない措置も不利益な取扱いにあたるとされています。
一方で実施マニュアルは、面接の結果を踏まえて会社がとる措置の中には、本人にとって不利益になり得ても、それ以上に健康を守る必要性が高く、合理的といえる場合もあると説明しています。その場合でも、医師の意見を聴くという法定の手続きを適正に踏むことが前提です。たとえば、本人の同意で受け取ったストレスチェックの結果だけをもとに、医師の面接を経ずに配置転換などの措置をとることは不適当だと明記されています。保健師やカウンセラーなどの相談対応の結果をもとに、医師の面接を経ずに措置をとることも同じく不適当です。
自分を守るために覚えておきたいのは、申出の記録です。施行通知では、面接指導の申出は書面や電子メールなどで行い、会社はその記録を5年間保存することが望ましいとされています。申し出たメールの控えは自分の手元にも残しておくと安心です。
もし「面接を申し出たら異動を言い渡された」など、納得できない扱いを受けたと感じたら、いつ・誰に・何を言われたかを記録しておき、社内の相談窓口や労働組合、各地の労働局などに相談するという手順が考えられます。どの窓口が使えるかは職場によって異なるので、まずは就業規則やストレスチェックの社内規程を確認してみてください。
50人未満の職場も2028年4月から実施が義務に
ストレスチェックは今のところ、常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施義務があり、毎年1回、ストレスチェックとその結果に基づく面接指導などを行う必要があります。この「事業場」は会社全体ではなく、本社・支店・工場などの単位です。50人未満の事業場では、これまで実施は努力義務でした。
令和7年(2025年)5月14日に公布された改正労働安全衛生法で、50人未満の事業場にも実施が義務づけられました。労働者健康安全機構の熊本産業保健総合支援センターが紹介している政令(令和8年6月10日政令第195号)により、施行日は令和10年(2028年)4月1日と定められています。
小さな職場では「誰が高ストレスかすぐにわかってしまうのでは」という心配が出やすいものです。厚生労働省の小規模事業場向けマニュアル(令和8年2月)は、50人未満の事業場では原則として、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を健診機関などの外部機関に委託することを推奨する内容です。
面接指導については、労働者健康安全機構の地域産業保健センター(地さんぽ)が、50人未満の事業場から依頼があった場合に医師による面接指導を無料で行っています。地さんぽは全国に約350か所設けられていて、都道府県ごとに連絡先を調べられるページも用意されていました。ただし、ストレスチェックそのものは実施しておらず、利用回数の制限があるほか、申込みが多い場合には対応できないこともあると案内されています。また、本人の結果は、密封した封筒で取り寄せるか本人が面接時に持参するなど、プライバシーが守られる方法で医師に渡す必要があるとされています。
小規模事業場向けマニュアルは、メンタルヘルス不調で休んだ場合の病休期間は平均で約3か月、復職後に再び休む割合も約半数だとして、未然防止の大切さを強調していました。いま小さな職場で働いている人も、数年のうちに同じ仕組みの対象になるわけです。
面接指導を受けない場合でも、できること
面接指導を申し出なかったとしても、結果を活かす方法はあります。相談先と、結果票の見方を紹介していきましょう。
申し出なくても相談はできる
実施マニュアルでは、実施者は、面接指導を申し出なかった人も相談できるよう、相談対応や専門機関の紹介などの支援を必要に応じて行うことが望ましいとされています。さらに指針は、会社が産業医などによる日常的な相談対応に加え、保健師、看護師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、臨床心理士などの心理職が相談に応じる体制を整えることが望ましいとしています。社内に「健康相談」や「なんでも相談」の窓口があれば、それもひとつの入口です。
社外の窓口もあります。労働者向けページで案内されている「こころの耳電話相談」(0120-565-455、フリーダイヤル)は、月・火曜の17時〜22時と、土・日曜の10時〜16時に受け付けています(祝日・年末年始を除く)。働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、電話のほかSNSやメールの相談窓口もあります。こころの耳は2026年10月21日、この電話相談の番号と間違えて別の番号にかける事例が起きているとして、番号を確認してからかけるよう呼びかけていました。
FiNC Technologiesが紹介した全衛連の会員機関へのアンケート(95機関が回答)では、医師面接の実施率は2.9%で、前年より0.9ポイント増えたものの低い傾向とされていました。高ストレス者の割合が14%台であることを考えると、面接指導を受けずに過ごしている人のほうがずっと多いと考えられます。面接はハードルが高いと感じるなら、まずは相談窓口に話してみる、という順番でも十分に意味があるはずです。
こころの耳には「全国医療機関検索」や、eラーニングの「15分でわかるセルフケア」もあります。受診先を探したいとき、まず自分でできることを知りたいときに使えるでしょう。
ただし、眠れない日や気分が落ち込む日が長く続いている、仕事に行くのがつらくてたまらない、といった状態であれば、ストレスチェックの時期を待たずに産業医や医療機関に相談してください。ストレスチェックは年1回の目安にすぎず、体調の変化はそれより早く訪れることがあります。
結果票を自分のセルフケアに活かす
ストレスチェック制度は、働く人が自分の結果を見てストレスの状態に気づき、自分で対処する「セルフケア」に取り組むことを、まず大切にしている制度です。労働者向けページは、結果を踏まえてセルフケアに取り組むよう呼びかけ、こころの耳のセルフケアのヒントや相談窓口の活用を勧めています。小規模事業場向けマニュアルによると、厚生労働省の効果検証事業では、ストレスチェックを受けた人の約7割が「自身のストレスが分かったこと」を有効だったと答えていました。
結果票を見るときは、点数の合計だけでなく、3つの領域のどこが高いのかに注目してみてください。「心身のストレス反応」が高いなら、疲れや眠り、気分といった体と心のサインが出ている状態です。「仕事のストレス要因」が高いなら、仕事の量や質、コントロールのしにくさなど、職場側の負担が大きいことを示しています。「周囲のサポート」の点数が悪いなら、上司や同僚に頼りにくい状況かもしれません。
どこが高いかによって、打てる手は変わってきます。たとえば仕事の量が原因なら、業務の優先順位を上司と確認する、抱えている仕事を書き出して見える化する、といった行動につなげやすくなります。サポートが足りないなら、相談しやすい人を職場の内外に一人でも見つけておくことが、次の一歩になるかもしれません。
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、職場のメンタルヘルスケアを、①セルフケア、②上司などによる「ラインによるケア」、③産業医や保健師など事業場内産業保健スタッフ等によるケア、④社外の専門機関など事業場外資源によるケア、の4つに分けています。労働者向けページは、ストレスチェック制度ではまず①のセルフケアが大切になり、必要に応じて医師の面接指導のほかに③や④も活用することが効果的だと説明しています。自分ひとりで抱え込まず、セルフケアで足りない部分は社内外の専門家に頼る、という組み合わせで考えるとよいでしょう。
年に一度の結果を記録しておくと、前年と比べて変化も見えてきます。こころの耳には「5分でできる職場のストレスセルフチェック」や「疲労蓄積度セルフチェック(働く方用)」もあるので、会社の実施時期以外に自分で状態を確かめることもできます。
まとめ
ストレスチェックの高ストレス判定は、病気の診断ではありません。全体の1割程度が該当するように作られた目安で、実際には受検者の14%台、およそ7人に1人前後が高ストレスと判定されています。結果は本人に届き、本人の同意がなければ会社には渡りません。
面接指導の対象になったら、申し出るかどうかは自分で選べます。申し出ると結果を会社に提供することに同意したとみなされますが、医師から会社に伝わるのは就業上の措置に必要な最小限の情報で、診断名や具体的な訴えの内容は伝えてはならないとされています。申出から面接までは概ね1カ月以内、面接の費用は会社が負担すべきものです。受けたことや受けなかったことを理由にした不利益な扱いは禁止されていて、50人未満の職場も2028年4月から実施が義務になります。
面接を受けない場合でも、社内外の相談窓口は使えます。結果票の3つの領域のどこが高いのかを見て、自分にできる対処をひとつ選んでみてください。そして、つらさが続くときは、年1回の検査を待たずに専門家を頼りましょう。