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就職活動やインターンシップの最中に、社員から私的な食事に誘われたり、交際相手のことを聞かれたりして、どう受け止めればいいのか迷った経験はないでしょうか。2026年10月1日からは、こうした「就活セクハラ」を防ぐための措置が、規模を問わずすべての事業主の義務になりました。
Xでも10月下旬には、10月1日施行の改正法で求職者やインターン生へのセクハラ防止措置が企業に義務化されたことを、弁護士の解説記事として紹介する投稿がありました(投稿1、投稿2)。日経就活版の公式アカウントも10月24日、「企業と学生は対等・平等な立場です」として、疑わしい言動に気づいたら相談するよう呼びかけています。
この記事では、就活セクハラとは何か、10月から何が変わったのか、被害にあったときにどう動けばいいのか、採用にかかわる社員が気をつけることは何かを順番に紹介します。
就活セクハラとは?どこまでが対象になる?
まずは、法律と指針が「就活セクハラ」をどう定めているのかを確認します。対象になる人や場面は、多くの人が想像するよりも広く決められています。
求職者等と求職活動等はどこまで含まれる?
厚生労働省は、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを「事業主が雇用する労働者による『性的な言動』により、求職者等による求職活動等が阻害されるもの」だと説明します。2026年2月26日に告示された指針(厚生労働省告示第52号)では、求職活動等で行われる意に反する性的な言動によって、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、求職活動等を行ううえで見過ごせない程度の支障が生じることと定めました。
守られる「求職者等」は、大きく3つに分けられます。1つ目は、求人に応募した人です。新卒採用か中途採用かは問わず、愛媛労働局の説明資料では、選考の途中で辞退した人でも、選考の過程で受けた言動は対象になるとしています。2つ目は、会社説明会やセミナー、インターンシップに参加する人や、OB・OG訪問で社員を訪ねる人など、事業主が行う採用につながる活動に参加する人です。3つ目は、教育実習や看護実習などの実習を受ける人です。一方、厚生労働省のWebマガジンのQ&Aでは、授業の一環として行われる社会科見学のように、もっぱら教育を目的とした活動の参加者は含まないとしています。
「求職活動等」の例として指針が挙げるのは、採用面接、就職説明会、社員への訪問、インターンシップ、教育実習や看護実習の受講などです。SNSなどのオンラインを介したやり取りや、オンライン上で行われるものも含まれます。また、社員がふだん働いている場所で行われるものに限らないとされていて、厚生労働省のWebマガジンでは、飲食店など、ふだんの職場以外の場所で行われるものも含まれると説明しています。
被害を受ける人の性別も問いません。異性に対するものだけでなく、同性に対するものも含まれ、被害を受けた人の性的指向やジェンダーアイデンティティにかかわらず対象になります。言動をする側として想定されているのは、正社員だけでなく、パートタイム労働者や契約社員を含む、その事業主に雇われているすべての労働者です。愛媛労働局の資料は、事業主や法人の役員も想定されると書いています。
内定者の扱いについては、弁護士の解説によると、労働契約が成立したと認められる内定者は社内の労働者として従来のセクハラ防止措置の対象になり、成立していない段階なら求職者等として扱われるとされています(BUSINESS LAWYERS)。いずれの場合も、会社の防止措置が及ぶことに変わりはありません。
指針の典型例と学生の約3割という調査結果
指針は、性的な言動として、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流すこと、性的な関係を強要すること、必要なく体に触ること、わいせつな図画を配ることなどを挙げています。厚生労働省のリーフレットや愛媛労働局の資料では、性的な冗談やからかい、食事やデートへのしつこい誘い、個人的な性的体験談を話すことも例として示されています。
指針が「典型的な例」として挙げているのは、次の6つの場面です。1つ目は、少人数の説明会で社員が腰や胸に触り、求職者が苦痛を感じて意欲が下がったケースです。2つ目として、インターンシップで社員が性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行い、活動が手につかなくなった例も挙げられています。3つ目は、インターンシップの場に性的な内容を含むポスターの掲示や画面の表示があり、活動が手につかなくなった場面です。さらに、面接官から性的な事実について質問されたケース、社員を訪問した際に性的な関係を求められたケース、インターンシップ中に私的な食事にしつこく誘われたケースが続きます。
実際の被害の多さは、厚生労働省が委託した「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)」に表れています。2024年1月に、2020〜2022年度に卒業して就職活動やインターンシップを経験した男女に調査したもので、インターンシップ中にセクハラを受けたと答えた人は30.1%、インターンシップ以外の就職活動中では31.9%でした。男女別では、インターンシップ中が男性32.4%、女性27.5%、それ以外の就職活動中が男性34.3%、女性28.8%と、男性のほうが高い結果になっています。
受けた内容は、インターンシップ中では「性的な冗談やからかい」が38.2%で最も多く、「食事やデートへの執拗な誘い」が35.1%、「不必要な身体への接触」が27.2%と続きました。インターンシップ以外の就職活動中では、「食事やデートへの執拗な誘い」が33.2%、「性的な冗談やからかい」が28.9%、「性的な事実関係に関する質問」が26.0%でした。
影響も小さくありません。どちらの場面でも「就職活動に対する意欲が減退した」が最も多く、インターンシップ中で34.6%、それ以外で40.0%でした。インターンシップ中では「眠れなくなった」が32.5%と続いています。一方、同じ調査で、過去3年間に就活等セクハラの相談があったと答えた企業は0.7%にとどまりました。学生の約3割が被害を経験しているのに、企業に届く相談はごくわずかだという差が、今回の義務化の背景の1つになっています。
2026年10月から何が変わった?
次に、今回の法改正で会社に何が義務づけられたのかを見ていきます。会社がやるべきことを知っておくと、学生の側も「この会社の対応は十分か」を判断する手がかりになります。
努力義務から法的義務へ変わった経緯
これまでも会社には、自社の従業員をセクハラから守るための措置が男女雇用機会均等法で義務づけられていました。ただ、就職活動中の学生やインターンシップの参加者は会社と雇用関係にないため、この義務の対象から外れていました。弁護士ドットコムニュースの取材に答えた弁護士も、従来の防止措置は基本的に、すでに雇用契約を結んでいる従業員を守るためのものだったと説明しています。旧来の指針では、求職者への言動について方針を示すことが「望ましい取組」とされていたにとどまります。
この状況を変えたのが、2025年6月に公布された改正法です。愛媛労働局の説明資料によると、2026年2月26日に指針が告示され、10月1日に施行されました。同じ日には、カスタマーハラスメント対策の義務化も施行されています。今回の義務は、企業の規模や業種にかかわらず、労働者を雇うすべての事業主に課されていて、中小企業に対する猶予期間もありません。
義務を果たしていない会社には、どのような対応がとられるのでしょうか。男女雇用機会均等法では、厚生労働大臣(権限は都道府県労働局長に委任)が事業主に報告を求めたり、助言、指導、勧告をしたりでき(第29条)、勧告に従わない場合は企業名を公表できる(第30条)と定めています。措置義務違反そのものへの刑事罰はありませんが、報告をしなかったり、うその報告をしたりした場合には20万円以下の過料が定められました。
また、厚生労働省はこの改正にあわせて、ハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」に特設ページを設け、パンフレットや企業向けマニュアルを公開中です。毎年12月を「職場のハラスメント撲滅月間」としていて、2026年は12月9日にオンラインのシンポジウムを開き、法改正の説明や企業の取り組み事例を紹介する予定だとしています。
義務化といっても、学生の側に何か手続きが必要になったわけではありません。変わったのは、会社が守る範囲が採用活動の場面にまで広がり、相談窓口やルールを整えていない会社は法律上の義務を果たしていないことになった、という点です。弁護士ドットコムニュースの記事でも、改正法と指針によって、相談窓口を設けて適切に対応すること、事実関係を確認すること、相談者のプライバシーを守ることなどが求められていると解説されています。
会社が講じる11の措置と面談ルール
指針が会社に求める措置は、4つの区分に分けられた合計11項目で、いずれも義務です。1つ目の区分は方針の明確化と周知で、就活セクハラを行ってはならないという方針を明確にすること、行為者には厳正に対処するという方針と内容を就業規則などに定めること、求職活動等に関するルールをあらかじめ決めて周知することの3項目からなります。2つ目は相談体制の整備で、相談窓口を決めて求職者等に知らせることと、窓口の担当者が適切に対応できるようにすることの2項目です。
3つ目は起きてしまったあとの対応で、事実関係を迅速かつ正確に確認すること、被害を受けた人への配慮、行為者への措置、再発防止の4項目があります。4つ目はあわせて講じる措置で、相談者や行為者のプライバシーを守ることと、事実確認に協力した労働者などを不利益に扱わないことを定めて周知することの2項目です。
学生の立場から特に知っておきたいのが、今回新しく設けられた「求職活動等に関するルール」です。愛媛労働局の資料では、面談の時間帯は原則として就業時間内とする、場所は事業所内の会議室などとし個室や飲食を伴う場所を避ける、複数名で対応して一対一の状況を作らない、やり取りに使うSNSや連絡手段を会社が管理するものに限る、といった例が挙げられました。
このルールは、社員だけでなく求職者等にも周知することが求められています。採用ホームページ、募集要項、選考の案内など、学生が確認できる方法で示すよう求められていて、同じ資料は、求職者がルールを知ることで、そこから外れた行為に気づけるようになると説明しています。つまり、会社のルールに「連絡は採用担当の窓口から行います」と書かれているのに、社員の個人アカウントから誘いが来たら、それ自体がおかしいと判断する材料になるということです。
相談窓口についても、学生の目線に立った工夫が示されています。指針は、求職者等は人事担当者への相談をためらうことも考えられるため、人事担当者以外の人を窓口の担当にすることも考えられると明記しています。既存の社内窓口がある会社は、その対象に求職者等を加える形でもかまいません。実際に被害が起きた場合だけでなく、起きるおそれがある場合や、セクハラにあたるか微妙な場合でも、広く相談に応じるよう求められています。
就活セクハラの被害にあったらどうする?
ここからは、被害を受けたと感じたときの動き方です。選考への影響が気になって声を上げにくいのは自然なことですが、記録と相談先を知っておくだけでも選択肢は広がります。
まず日時や言われた言葉を記録に残す
ハラスメントを受けたと感じたら、まず記録を残しておきましょう。秋田労働局が「あかるい職場応援団」から引用している案内では、いつ、どこで、誰が、何を、何のためにしたのかを記録し、メモや録音など最適な方法で残すことをすすめています。後になって事実を確認するときに役立つためです。
「あかるい職場応援団」の外部相談窓口のページでも、労働局の総合労働相談コーナーに相談するときは、ハラスメントだと感じたことが起きた日時、どこで起きたのか、どのようなことを言われたり強要されたりしたのか、誰に言われたのか、そのとき誰が見ていたかを整理して持っていくとよいとしています。職場のパワハラを念頭に置いた案内ですが、就活中の出来事を整理するときにも同じ項目が使えます。
就活セクハラでは、SNSやメッセージアプリでのやり取りが問題になることも少なくありません。北海道庁の事例では、インターンシップで指導を担当していた男性職員が「資料を後日渡したい」と言ってLINEの連絡先を交換し、その後「かわいい」「下の名前で呼んでいい?」といったメッセージを送って食事に誘っていたと報じられています。このように、オンラインでの言動も指針の対象です。メッセージの画面を保存しておく、相手のアカウント名と日付がわかる形で残しておく、といった工夫をしておくと、後から説明するときの助けになります。
記録は、相談するかどうかを決める前に残しておいてかまいません。調査では、被害を受けても何もしなかった理由として、インターンシップ中は「何をしても解決にならないと思ったから」が48.6%で最も多く、「就職活動において不利益が生じると思ったから」が18.9%で続きました。その場ですぐ動けなくても、記録があれば、気持ちが落ち着いてから相談するときや、後で同じことが繰り返されたときに状況を伝えやすくなります。
心や体への影響が出ていないかにも目を向けてください。厚生労働省のWebマガジンでは、インターンシップ以外の就職活動中に被害を受けた人のうち、「眠れなくなった」が31.5%、「通院したり服薬をした」が22.6%、「入院した」が7.2%いたと紹介しています。眠れない日が続く、外に出るのがつらいといった状態があるときは、就職活動よりも自分の体調を優先し、学校の保健室や学生相談室、医療機関を頼ることも考えてください。
会社の窓口だけでなく学校や労働局にも相談できる
相談先は1つではありません。厚生労働省のWebマガジンのQ&Aでは、就職活動中やインターンシップ中にセクハラを受けた場合、会社が設けている相談窓口と、大学のキャリアセンターなど教育機関の窓口のどちらに相談してもよく、状況に応じて自分で判断してくださいと答えています。会社の窓口では、担当者が適切に対応できるようにすることや、相談者のプライバシーを守ることが会社の義務です。
会社の窓口に相談するのをためらう場合は、キャリアセンターや学生相談室、ゼミの教員などに話す方法があります。教育機関の窓口から情報提供があった場合に、会社がそこと連携して適切に対応することは、指針で「望ましい取組」とされているものです。愛媛労働局の資料も、学生本人が選考を受けている会社に直接申し出るのは難しく、学校を通じて相談が寄せられることは少なくないと書いています。
外部の窓口としては、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)にも相談できます。厚生労働省のリーフレットによると、受付は8時30分から17時15分まで(土日祝日と年末年始を除く)で、たとえば東京は03-3512-1611、大阪は06-6941-8940です。ほかにも、労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナー、法律に関する相談先を無料で案内している法テラス、ハラスメントを含む人権問題の相談電話「みんなの人権110番」が「あかるい職場応援団」で紹介されています。
実態調査では、被害を受けたあとの行動として、インターンシップ中は「家族・親戚、友人に相談した」が21.5%で最も多く、「労働基準監督署や都道府県労働局内の総合労働相談コーナーに相談した」が19.3%、「セクハラを受けた企業への就職活動をやめた」が18.4%でした。インターンシップ以外の就職活動では、総合労働相談コーナーへの相談が20.0%で最も多くなっています。相談した後の対応は、「解決策・対応策は示してくれなかったが、相談にのってくれた」が4〜5割、「企業として事態の解決に向けて動いてくれた」も4割台でした。
そのため、求職者本人が調停を申し立てることはできないと説明されています。どの手段が使えるかは状況によって変わるので、まずは労働局や学校の窓口で相談し、必要に応じて弁護士につないでもらうのが現実的です。
採用にかかわる社員が気をつけることは?
最後に、面接官やリクルーター、インターンシップの受け入れ担当など、学生と接する社員の側から見ていきます。悪気のない一言や「親切のつもり」の連絡が、相手にとっては断りにくい圧力になることがあります。
社員が守りたい面談とSNS連絡のルール
実態調査で、インターンシップ以外の就職活動中にセクハラを受けた場面として最も多かったのは「リクルーターと会ったとき」の32.8%で、次が「内々定を受けた後」の26.0%でした。行為者としては、インターンシップ中は「インターンシップ先で知り合った従業員」が47.4%、「インターン先での上司・指導役(役員以外)」が32.0%、インターンシップ以外では「大学のOB・OG訪問を通して知り合った従業員」が38.3%、「学校・研究室等へ訪問した従業員、リクルーター」が37.0%でした。正式な面接よりも、一対一になりやすい接点で多く起きていることがわかります。
一方で、企業調査では、就活等セクハラへの取り組みのうち「リクルーターの行動指針やマニュアルの策定・周知」を行っている企業は4.9%にとどまりました。だからこそ、今回の指針は面談の時間や場所、対応する人数、連絡手段のルールを先に決めておくことを求めています。社員の立場では、会社がルールを定めているかを確認し、定められていればそれに従うことが基本です。
具体的には、学生との面談は就業時間内に、社内の会議室やオンラインなど会社が認めた場所で行い、できるだけ複数名で対応することです。連絡は会社のメールアドレスや採用管理システムなど、会社が管理する手段に限り、個人のSNSアカウントやメッセージアプリで学生とつながらないようにします。北海道庁の事例も、「資料を後日渡したい」という業務上の理由でLINEを交換したことが、その後の私的な連絡につながっていました。資料の受け渡しも会社の窓口を通せば、こうした流れは防ぎやすくなります。
会話の内容にも注意が必要です。BUSINESS LAWYERSの弁護士解説では、面接や説明会のあとの見送りなどで必要もなく肩や手に触れること、懇親会で「付き合っている人はいるの?」「どういう人がタイプ?」と聞くこと、「今度食事に行ってくれたら、次の面接を通過しやすくするよ」と言うことは、通常は就活セクハラにあたるだろうと述べています。緊張をほぐすためや、人となりを知るためといった理由で不適切な質問がされることがあるという指摘もあり、注意が必要です。
性的な言動ではなくても、指針は求職者等へのパワハラに近い言動や、性的指向やジェンダーアイデンティティについての侮辱的な言動、本人の了解を得ずに他人に明かすアウティングなどにも、必要に応じて適切に対応することが望ましいとしています。採用の場では社員の側が評価する立場にあり、学生は断りにくいということを意識しておきましょう。
行為者の処分と会社が負う責任
就活セクハラをした社員には、どのような処分がありうるのでしょうか。指針は、行為者に厳正に対処するという方針と対処の内容を、就業規則などの服務規律を定めた文書に定めて周知することを会社に求めています。事実が確認できた場合には、就業規則にもとづいて必要な懲戒などを行い、事案の内容に応じて被害者と行為者を引き離す、行為者に謝罪させるといった措置をとることが例として示されています。
北海道庁の事例では、道は女子学生に謝罪して男性職員をインターンシップの担当から外し、セクハラにあたる可能性があるとして処分を検討していると報じられました。男性職員は言動をおおむね認めているとされています。北海道文化放送の報道によると、鈴木知事は「許されない行為。2度と起こしてはならない」と述べ、事実関係を調べて厳正に対処し、マニュアルの作成などで再発防止を図る考えを示しました。
会社の責任は、処分だけで終わりません。指針は事実確認ができなかった場合でも、方針をあらためて周知するなどの再発防止策をとるよう求めています。愛媛労働局の資料は、主張が食い違って事実確認が十分にできないときは第三者からも話を聞くなどの方法があり、対応の経過は記録として残すよう求める内容です。民事上は、行為者本人が不法行為責任(民法第709条)を負うほか、会社も使用者責任(民法第715条)を問われる可能性があります。
事実確認に協力した社員を守る仕組みもあります。会社は、事実確認に協力したことや、労働局への相談や調停の申請をしたことなどを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしない旨を定めて社員に周知しなければなりません。同僚の行為を見聞きしたときに、報告しやすい環境を整える意味があります。また、派遣スタッフが説明会などを担当している場合、派遣先も措置義務を負うとされているほか、改正後の法律では、法人の役員自身も求職者等への言動に注意を払うよう努めることとされています。
厚生労働省の企業調査では、過去3年間に就活等セクハラの相談があった企業のうち、実際にハラスメントにあたると判断した事例があったのは37.0%でした。該当事例の行為者と被害者の関係は「インターンシップを担当した自社従業員」が40.0%で最も多くなっています。窓口ができれば、これまで届かなかった相談が寄せられるようになるかもしれません。社員一人ひとりがルールを理解しておくことが、学生を守ることにも、自分自身や会社を守ることにもつながります。
まとめ:就活セクハラ義務化で知っておきたい5つのポイント
就活セクハラとは何か、2026年10月から何が変わったのか、被害にあったときの動き方と社員が気をつけることを見てきました。最後にポイントを振り返ります。
- 就活セクハラは、応募者だけでなくインターンシップや説明会の参加者、OB・OG訪問の学生、実習生への性的な言動も含み、SNSやオンラインのやり取りも対象になる
- 2026年10月1日から、規模や業種を問わずすべての事業主に防止措置が義務づけられ、指針は4区分11項目の措置を定めている
- 会社は面談の時間や場所、連絡手段などのルールを決めて求職者にも知らせる必要があり、そこから外れた接触はおかしいと判断する手がかりになる
- 被害にあったら、日時や場所、言われたこと、相手、見ていた人を記録し、会社の窓口、キャリアセンター、労働局の雇用環境・均等部(室)などに相談できる
- 学生と接する社員は、就業時間内に会社の場所で複数名で対応し、個人のSNSで連絡しないことが基本で、違反すれば懲戒や会社の責任につながる