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仕事中に新人が寝ているように見えると、「やる気がない」「社会人としてあり得ない」と注意したくなるかもしれません。しかし、居眠りに見えた一場面だけで原因や性格を断定すると、必要な安全対応、業務改善、健康上の相談を見落とす可能性があります。
結論として、上司や指導担当者は、安全を確保し、見た事実を記録し、人前ではなく個別に本人へ確認します。そのうえで、勤務ルールと業務への影響を伝え、本人が実行できる改善策、確認日、再発時の相談先を決めます。運転、機械操作、高所作業など事故につながる業務なら、原因確認より先に作業を止めて交代させる判断が必要です。
この記事では、新人を病気とも怠慢とも決めつけず、管理する側が取れる対応を順番に整理します。医学的な診断は行わず、強い眠気が続く場合に本人へ案内できる厚生労働省の情報や、面談と伝え方を考える書籍も紹介します。
最初に危険な作業から離して安全を確保する
仕事中の眠気が事故に直結する場面では、注意の仕方を考える前に、安全な状態を作ります。本人の反省を待たず、運転や機械操作などを一時的に止め、社内ルールに沿って上司や安全管理担当者へ共有してください。
社用車の運転、フォークリフトや工作機械の操作、高所作業、火気や薬品を扱う作業、患者や利用者の安全に直接関わる業務では、数秒の意識低下でも重大な結果につながる可能性があります。「新人だから少し様子を見る」「本人が大丈夫と言ったから続けさせる」ではなく、危険源から離し、必要なら別の担当者へ交代します。
この対応は、本人を罰するためではありません。事故を防ぐための一時的な措置です。その場で同僚の前から強く叱り、恥をかかせても、安全性は確認できません。まず座って休める場所へ移し、意識や受け答えに異常がある、急な体調不良が疑われるなど緊急性がある場合は、職場の救急手順に従います。
危険のないデスクワークでも、顧客情報の誤入力、重要な監視の見落とし、会議中の判断不足などが起きる可能性があります。直ちに重大事故へつながらない場合は、声をかけて状態を確認し、いったん休憩させる、作業を区切るなど、就業規則と現場の権限内で対応します。
「眠そう」と感じただけで、本人の許可なく薬や病歴を探ったり、同僚にうわさを広げたりしないでください。安全確保に必要な情報と、個人の健康情報を分けて扱います。
観察した事実と自分の評価を分けて記録する
本人へ話す前に、誰が見ても確認できる事実を整理します。「いつも寝ている」「やる気がない」のような評価ではなく、日時、場所、状態、業務への影響を書きます。
たとえば、「8月24日14時10分ごろ、研修資料を読む時間に、机へ伏せた状態が約3分続き、2回呼びかけて顔を上げた」「8月23日の会議で、説明中に目を閉じた状態が続き、担当箇所への質問に答えられなかった」と記録します。時間が正確でなければ、分かる範囲を明記し、後から断定的な数字へ変えません。
一方、「新人のくせに態度が悪い」「夜遊びしているに違いない」「病気だと思う」は観察事実ではありません。机に伏せた理由が眠気か体調不良か、目を閉じた理由が居眠りか考え事かは、本人へ確認するまで決められません。
記録する項目は、日時、業務、見えた行動、声をかけた内容、本人の返答、その場で取った安全措置、仕事への具体的な影響です。同じ行動を複数人が見た場合も、うわさを集めるのではなく、それぞれが直接確認した内容を分けます。
記録は指導を正当化するために大げさに作るものではありません。本人と会社が同じ出来事を確認し、改善したかを比べる基準です。会社の記録様式や個人情報の取扱規程がある場合は、それに従います。
注意は人前でせず個別に短く確認する
事実を整理したら、できるだけ早く個別に話します。周囲の前で「また寝ていたよね」と責めると、本人が事情を話しにくくなり、チーム内のうわさにもつながります。
最初の声かけは、原因を決めつけず、観察した事実と状態確認を短く伝えます。
14時ごろ、机に伏せた状態が続き、呼びかけにすぐ反応できていませんでした。今、体調に問題はありませんか。
本人が「大丈夫です」と答えても、勤務中の行動と影響は別に確認します。
体調の確認とは別に、担当中に反応できない状態が続くと、作業の見落としにつながります。何が起きていたのか、話せる範囲で教えてください。
ここで「昨夜何時まで遊んでいたの」「どんな病気なの」と私生活や診断名を問い詰めません。本人が自分から話した健康情報も、必要以上に同僚へ共有しないでください。上司が診断するのではなく、業務遂行と安全に必要な範囲を確認し、健康面は産業保健スタッフや医療機関など適切な先へつなぎます。
新人が緊張して理由をうまく説明できない場合は、その場ですべてを言わせようとせず、「今日中にもう一度10分話す」「明日の始業時に状態を確認する」と次の機会を決めます。ただし、危険作業へ戻してよいかの判断は後回しにしません。
原因は四つの方向から確認し一つに決めつけない
仕事中の眠気には、勤務の組み方、業務の進め方、生活状況、健康状態など複数の要因が関係し得ます。管理者は医療的な原因を推測せず、職場が調整できる条件から順に確認します。
勤務時間と休憩を確認する
残業、早朝勤務、夜勤、連続勤務、休憩を取れなかった事情がないかを、勤怠記録と本人の話で確認します。新人本人の自己管理だけの問題にせず、会社側のシフトや指示が休息を妨げていないかを見ます。
厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023では、交替制勤務が不眠、眠気、休養感の低下などと関連し、作業効率や事故・けがにも関係すると説明されています。夜勤や交替制勤務の職場では、個人の気合だけに頼らず、勤務間隔や休憩の取り方を確認する必要があります。
業務量と教育方法を確認する
単調な研修が長時間続く、説明を聞くだけで参加する機会がない、理解できないまま放置されている、逆に仕事量が多く自宅で復習し続けているなど、教育方法が眠気や疲労を強めている可能性もあります。
研修を短い単位へ分ける、説明後に本人へ操作してもらう、休憩時刻を明確にする、質問できる担当者を決めるなど、指導側で変えられる点を探します。これは居眠りを認めることではなく、再発しにくい仕事の設計を考えることです。
本人が話せる範囲で生活上の事情を聞く
通勤、育児や介護、睡眠時間など本人が話せる事情を聞くことはできますが、答えたくない私生活まで強制しません。「生活を直しなさい」と一方的に命じるより、勤務に影響している困り事があるか、会社へ相談したい調整があるかを確認します。
本人が睡眠不足を認めた場合も、「なら自己責任」で終えず、翌日から取る行動を具体化します。始業に間に合う就寝準備、休憩中の過ごし方、残業の確認など、本人が実行することと会社が調整することを分けます。
強い眠気が続くなら健康相談を案内する
十分に休む工夫をしても、起きている時間や仕事中の強い眠気が続き、生活へ影響している場合は、本人だけで抱えず医療機関や産業保健スタッフへ相談するよう案内します。上司が「睡眠障害だ」と病名を付けることはできません。
睡眠ガイド2023では、対策をしても日中の生活に影響する眠気が続く場合、医療機関への相談を勧めています。本人へは、「病気だと思う」ではなく、「強い眠気が続いて仕事に影響しているため、産業医や医療機関へ相談する選択肢があります」と伝えます。
厚生労働省の働く人の疲労蓄積度セルフチェックは、最近1か月の自覚症状と勤務状況を確認する27問のチェックです。自己点検の材料として案内できますが、結果だけで診断や人事評価を行うものではありません。
勤務ルールと仕事への影響を明確に伝える
事情を聞くことと、勤務中の居眠りを曖昧にすることは別です。確認できた事実、職場のルール、業務や安全への影響を具体的に伝えます。
今日14時ごろ、研修中に机へ伏せ、呼びかけへの反応が遅れました。勤務中は担当業務に対応できる状態を保つ必要があります。この状態では説明の見落としと作業ミスにつながるため、同じことが起きないよう対応を決めたいです。
就業規則に居眠りや勤務態度の定めがある場合は、該当する内容を確認します。ただし、規則を読まずに「普通は解雇だ」などと脅しません。処分の判断は、会社の規程、事実確認、頻度、本人への説明、健康や配慮の必要性などを踏まえ、権限のある部署が行います。
新人であっても、勤務ルールは明確に伝えます。同時に、教えていないルールや曖昧な休憩方法を「常識」として責めないでください。いつ休憩できるか、眠気や体調不良を誰に申告するか、危険作業中に異変を感じたらどうするかを具体的に説明します。
本人が謝ったことだけで面談を終えず、再発を防ぐ行動を決めます。謝罪はその場の関係を整えても、翌日の働き方を自動的には変えません。
改善計画は本人と会社の行動を一つずつ決める
「もう寝ません」「気をつけます」だけでは、改善したかを確認できません。本人が取る行動、指導側が変えること、次の確認日を具体化します。
たとえば本人は、強い眠気を感じた時点で担当者へ申し出る、決められた休憩を取る、体調不良が続く場合は健康相談を利用する、といった行動を決めます。指導側は、研修を60分続けず区切る、午後に実技を入れる、残業やシフトを確認する、相談先を伝えるなどを決めます。
明日から、眠気で作業に集中できないと感じた時点で私へ伝えてください。研修は30分ごとに確認問題を入れます。明後日の終業前に、同じ状態が起きなかったかを10分確認しましょう。
改善確認の期間は、業務と危険度に合わせます。安全に直結する作業なら、次回の担当前に確認が必要です。デスクワークで一度だけ起きた場合も、無期限に様子を見るのではなく、一週間後など確認日を決めます。
再発した場合の手順も先に説明します。再度事実確認を行う、人事や上位管理者と面談する、産業保健スタッフへの相談を案内するなど、会社の規程に沿った次の段階を共有します。「次やったら終わり」と脅すのではなく、どの状態になれば誰が確認するかを明確にします。
改善計画は、本人だけに責任を押しつける誓約書ではありません。勤務条件や教育方法に問題が見つかったなら、会社側の対応も期限と担当者を決めます。
面談後は合意した内容を短く残す
話し合いの後は、本人の性格への評価ではなく、確認した事実と決めた行動を記録します。記録を共有するときは、健康情報の扱いに注意し、必要な人だけに限定します。
本日の面談で、14時ごろ研修中に反応が遅れた事実を確認しました。明日から、強い眠気を感じた時点で担当者へ申し出ます。研修は30分ごとに区切り、8月27日の終業前に状況を確認します。
本人が体調や家庭事情を話しても、面談記録へ必要以上の詳細を書きません。業務上必要な配慮や相談先だけを記録し、病歴や家族の情報をチーム全体へ知らせないでください。
確認日には、上司の印象ではなく、同じ行動が起きたか、担当業務を安全に行えたか、本人が申告できたか、会社側の変更を実施したかを見ます。改善していれば、その事実を本人へ伝えます。再発した場合は日時と影響を追加し、決めた次の手順へ進みます。
再発したら人事・産業保健・上位管理者へつなぐ
一度注意しても繰り返す、危険作業で起きる、本人の体調不良が続く、直属上司だけでは勤務調整できない場合は、同じ叱り方を繰り返さず相談範囲を広げます。
人事や労務には、就業規則、勤怠、配置、休憩、指導記録を確認します。産業医や保健師など産業保健スタッフには、本人の健康相談や就業上の配慮について、会社の手順に沿ってつなぎます。管理者は診断内容を聞き出すことより、安全に働ける条件を確認します。
本人が受診や相談を拒む場合でも、上司が無理に診断を求めたり、勝手に病名を付けたりしません。一方、安全確保や業務遂行に必要な措置は、会社の規程と専門部署の判断で進めます。
過重労働や休憩不足が関係しているなら、新人個人の生活指導だけでは解決しません。勤務実績、上司の指示、業務量を確認し、チームや組織の問題として見直します。
カフェインだけで乗り切らせない
眠気がある本人へ「コーヒーを飲めばよい」とだけ助言するのは十分ではありません。カフェインには摂取量や時間による影響があり、根本的な休息や相談の代わりにはなりません。
睡眠ガイド2023は、カフェインの過剰摂取が健康や睡眠へ悪影響を及ぼす可能性を説明しています。エナジードリンクを何本も飲む、就寝前までカフェインを取り続けるといった自己流の対策を会社が勧めるべきではありません。
職場でできるのは、予定された休憩、危険作業からの交代、勤務の確認、医療・健康相談の案内です。本人が自分で飲み物を選ぶ場合も、上司が摂取を強制したり、効果を保証したりしないでください。
新人指導と面談に役立つ関連書籍
居眠りへの対応は、睡眠の基礎、短い面談の作り方、行動を具体的に伝える技術を組み合わせる必要があります。ここでは、それぞれ異なる目的で確認できる三冊を紹介します。
『睡眠こそ最強の解決策である』
睡眠を本人の根性や怠慢だけで捉えず、体と脳に関わる問題として基礎から知りたい人向けです。
マシュー・ウォーカーによる睡眠の解説書です。管理者がこの本だけで本人を診断することはできませんが、「眠いなら気合で起きろ」という一言で終えず、睡眠を安全と健康の問題として考える材料になります。
『増補改訂版 ヤフーの1on1』
問題が起きたときだけ長く叱るのではなく、短い対話を継続し、本人の振り返りと次の行動を支える面談を考えたい人向けです。
本間浩輔による1on1を扱う本です。今回のような指導でも、上司が一方的に結論を言うだけでなく、本人の説明を聞き、次回までの行動を確認する枠組みを考える補助になります。会社の就業規則や安全手順より優先されるものではありません。
『部下をもったらいちばん最初に読む伝え方の本』
事実、期待する行動、期限を、相手が実行できる言葉へ変えたい管理者向けです。
『部下をもったらいちばん最初に読む伝え方の本』を楽天市場で確認する
吉田幸弘による部下への伝え方を扱う本です。「だらしない」と人格を評価する代わりに、いつ何が起き、どの行動を変えてほしいかを言葉にする材料になります。ただし、健康問題や労務判断は専門部署へ相談してください。
よくある疑問
新人の居眠りへ対応するときに、管理者や先輩が迷いやすい点を整理します。個別の懲戒、配置、健康情報の扱いは、会社の規程と人事・労務の判断を確認してください。
一回寝ていたらすぐ厳重注意すべきですか
まず安全を確保し、見た事実と本人の状態を確認します。一度でも事故につながる作業なら直ちに担当を外す必要がありますが、処分や厳重注意をその場の印象だけで決めるのは避けます。頻度、影響、勤務条件、会社の規程を確認してください。
本人が「寝ていない」と否定したらどうしますか
原因や意図を争うより、確認できた行動へ戻します。「寝ていたはずだ」ではなく、「呼びかけに反応できず、説明を聞き逃した」「机に伏せて作業が止まった」と伝え、勤務中に必要な状態と次の行動を確認します。
同僚から聞いただけでも注意できますか
うわさだけで断定せず、報告者が直接見た事実、日時、業務への影響を確認します。必要なら本人にも状況を尋ねます。報告者の名前や健康に関する推測を職場へ広げないでください。
病院へ行くよう命令してよいですか
上司が病名を決めたり、自己判断で受診を強制したりせず、産業保健や人事と会社の手順を確認します。対策をしても強い眠気が続き生活や仕事へ影響する場合は、医療機関や産業保健スタッフへ相談する選択肢を本人へ案内します。
居眠りした新人をすぐ解雇できますか
この記事だけで個別の法的判断はできません。事実、就業規則、指導、頻度、健康上の事情、会社の対応などが関係します。管理者がその場で解雇を約束したり脅したりせず、人事・労務や必要に応じて専門家へ相談してください。
先輩の立場でも注意してよいですか
指導権限と報告手順を確認します。危険があれば立場に関係なく安全確保を優先しますが、その後の正式な面談や処分判断は上司へ共有します。個人的な説教や同僚への言いふらしは避けてください。
まとめ
仕事中に寝る新人へ対応するときは、怠慢や病気と決めつけず、安全確保、事実の記録、個別確認、勤務ルールと影響の説明、改善計画、確認日の順で進めます。危険な作業中なら、原因を聞く前に作業から離し、事故を防いでください。
本人へは「やる気がない」ではなく、「いつ、どの業務で、どの状態が続き、何に影響したか」を伝えます。本人が取る行動と、研修や勤務を調整する会社側の行動を一つずつ決め、次に確認する日を共有します。
休んでも強い眠気が続き、仕事や日常生活へ影響する場合は、上司が診断せず、産業保健スタッフや医療機関へ相談する選択肢を案内します。再発、安全上の危険、過重労働、健康上の相談がある場合は、直属の指導者だけで抱えず、人事・労務・産業保健・上位管理者へつないでください。

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